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映画で「父子」を
テーマに描いたものはかなりあります。

葛藤、衝突、和解、喪失、
克服、協同、模倣などなど。

描かれる父親像も、酒飲みだったり、
ばくち打ちだったり、
かつては殺し屋だったり、CIAだったり、
幽霊だったり、暗黒面に取り込まれていたり、
まあいろいろあるわけです。
(ろくでもない感じで描かれる率が
高いのはなぜなのだろう……)

 

さて、今回わが家の子供たちと観た映画は「バケモノの子」。

映画「バケモノの子(2015,日本)」
監督:細田 守
上映時間:119分

2015年夏に公開された冒険活劇のアニメです。

この映画も父子(≒師弟)の在り方を
テーマの一つにしている作品です。

孤独になってしまった少年が、
ひょんなことから「バケモノ」である
熊徹(くまてつ)を師として、
バケモノの世界と現実の世界を行き来しつつ、
成長していく物語です。

 

で、娘(5歳)と息子(8歳)が
この映画をどのように観たのかと言えば、
ゲラゲラとドキドキ。

夏の冒険活劇映画の面目躍如といった感じで、
非常に楽しく見ていました。

主人公が独自の工夫を施した修行で
強くなっていく様にワクワク。

熊徹と主人公のドタバタシーンにゲラゲラ。

人間が業として持っている「闇」と
対決しなくてはいけないシーンでドキドキ。

 

映画というものが、
子供たちに感じさせることができる
様々な楽しい感情を、
正しく提供できる映画が
この「バケモノの子」なのだと思いました。

だから、この映画の満足度について、
子供たちは文句なく高かったと思います。

いやぁ~、やっぱり映画っていいもんですね!

 

……。

……。

……。

ま、いいんですけどね。

いいんですよ、実際。

子供たちと一緒に楽しむ映画、なんだから。

子供たちが楽しめれば……いいわけです。

 

が。

やっぱり一言、言いたい。

「父子の描き方が浅くね?」と。

 

この映画をジャンプ漫画のアニメ化くらいのレベルで考えれば、
及第点以上は確実のアニメだと思うんですが、
もしも監督が「父子」を何らかの形で
描きたかったのだとしたら、
結局父性をどう捉えているのか、
さっぱりわからないわけです。

熊徹(バケモノの師匠)、
その他の面倒を見てくれるバケモノ、
現実世界での父親。

それらが主人公の成長や人生に、
どのように取捨選択されるものなのか、
そして意味を持つものなのか、
イマイチよく分からない。

 

主人公を孤独にしたいから、
親を離婚させ、
母親を交通事故に合わせ、
父親を音信不通にさせる。

こういった設定在りきで、
家族の形を作者の都合で人工的につくり出すのは、
安易すぎてとても残念です。

父性の欠落や補完、受容や和解、
といったドラマに厚みを加える部分が
おおざっぱすぎて、特に薄く感じました。

 

いつかどこかで見たような師弟関係。

いつかどこかで見たような孤独な子供。

いつかどこかで見たような父との和解。

いつかどこかで見たような異性との遭遇。

いつかどこかで見たような思春期の葛藤。

いつかどこかで見たような戦闘シーン。

いつかどこかで見たような……。

私にとっては、
そんな印象を持つ映画でした。

もうちょっと人間や家族のドラマを丁寧に描かないと、
既視感にやられる映画だったように思います。

 

ということで。

「バケモノの子」。
非常によくできた楽しい映画です。

子供たちにも必ずウケます。

ただ、家族を持ったおっさんからすると、
どこか張りぼてのような雰囲気が漂う映画だった気がします。

movie09

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