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前回に引き続き、子供同士のトラブルについてのエピソードをご紹介します(前回は『子供の叱りかた「子供同士のけんか」その1』をご覧ください)。

事例その2 自分の子供が悪い時

今回は先日あるお店のプレイスペースで見かけたエピソードです。

わが家の子供たちはそれぞれ積み木と読書で勝手に遊んでいたので、手持無沙汰の私はぼんやりとそのプレイスペースを眺めていました。

そのお店は「事例その1」のカオス状態のプレイスペースと違い、置いてあるおもちゃもロハス的な木製のものだったりするので、いつも比較的落ち着いた雰囲気です(赤ちゃんとお母さんがのんびりできる感じですね)。

すると、子供たちの金切り声と泣き叫ぶ声が。

見ると、男の子二人(どちらも同じくらいの体格で4歳くらいでしょうか)が輪投げの輪を取り合って泣いています。

双方の男の子たちの後ろにはそれぞれのお母さんが控えて、お互い困った顔をしていました。

 

状況的にどちらかの子が遊んでいた輪投げを、どちらかの子が取ってしまった模様です。

私が不思議に思ったのは、どちらが取ったのかしばらく見ていても分からなかったことです。

というのも、ずっと一緒に遊んでいたお母さんであれば、普通は自分の子が取ったのか取れられたのかが分かるわけで、その時点で自分の子が取ってしまったのであればちゃんと教えたり叱ったりする必要があると思ったからです。

いわんや相手の子を泣かせてしまっているわけですから、自分の子供を諭しつつ、相手の子に謝りつつ、相手の親御さんにも謝るのが普通だと思ったわけです。

ところが、どちらのお母さんもお互いがコミュニケーションを取るわけでもなく、ずっと子供たちの引っ張り合いを困惑して見たままです。

 

恐らく取られた子のお母さんが自分の子は悪くないのに、引き下がらない相手の子と事態を収拾しようとしないその子のお母さんに困惑していることが想像できました。

ただ、その時点でも、やっぱりそれがどちらの親子かは分かりません。

そして、見ているうちに一方の子が相手の子を結構な勢いでポカポカやり始めたわけです。

そうなってくると、もはやどっちがどうとかではなく、手を出した子のお母さんはすぐにでも止めさせるべきだと思うのですが、そのお母さんは手に持った別の輪を差し出して「○○くん、新しい輪だよ。お母さんが魔法で出してきたよ」とどこか的外れなことを言っているのでした。

 

最終的にポカポカされた子は諦め、ポカポカした子は輪を獲得し、双方のお母さんはディスコミュニケーションのうちに事態は締めくくられたのでした。

その後、ポカポカした子は他の子供のおもちゃも取り上げていました。

その子のお母さんはその時も「○○くん、こっちに面白いおもちゃがあるから!」と別のことに目を逸らそうとするようなことしか言っていませんでした(まあ、となれば結局さっきの輪の取り合いもどちらがどうか推測できるようなものですね…)。

 

そんなこんなで、私はそのお母さんがひどく小さな小さな関係の中で子育てをしているような気になってしまいました。

親子の一対一の関係性の外側には、たくさんの人との接触や摩擦があるわけですが、そのことに対して目を背けているように思えたからです。

たぶんそのお母さんは子供を叱ることを忌避する育児をしているのだと思ってしまいました。

子供と一対一の時につい感情的になって怒ってしまい、後々親の方が反省してしまうということはよくありますし、私にも経験があります(「子供の叱りかた『体罰』」でもそのことをご紹介しています)。

だから、そういったことの反省をもって、自分の子を叱りづらくなってしまうということは、いいか悪いかは別にしてあり得ることだと思います。

 

ただ、プレイスペースであろうとどこであろうと、外へ出て他者との関係性を学ばなくてはいけない重要なシーンで、「叱らない」という選択はあり得ないのではないかと思います。

ましてや、自分の子の悪いことが明らかな時に「叱ってあげない」ことは、その子にとって自己と他者の境界が曖昧になってしまう、とてもかわいそうなことだと思ったわけです。

 

一方、少々きつい言い方になってしまうかもしれませんが、結局輪っかを取られて諦めさせられた子の親御さんの対応にも私は疑問が残ります。

子供は自分が何も悪いことをしていないのにひどい目にあっている、と感じている時に大好きなお母さんが味方になってくれなかったら、どんな気持ちになるもんでしょうか。

恐らくそのお母さんは相手のお母さんとの摩擦を気にしていたのではないかと推測します。

ただ、親が相手の親との摩擦を気にして自分の子の味方にならないなんて優先順位がまったく違う気がするのです。

 

お互い自分の子が一番可愛いのは親として当たり前のことだと思いますが、一方の子供が明らかに悪い時はどちらの親が叱ってもいいのではないか、と私は思うのですがいかがでしょうか。

(と言いつつ、私は他所の子を注意してそのお母さんから氷のような冷たい視線を受けた経験が何回かあるので、それがやりづらいことであることは重々承知しています…)

 

といことで、子供の同士のけんか(特に知らない子との間)で、親の立ち位置、親同士のコミュニケーションは非常に難しいと感じるわけです。

ただ、この場合私が考えるのは、「子供を叱るタイミング」と「子供の味方になってあげるタイミング」を間違えてしまうと、子供にとってどちらにせよ可哀そうなことにしかならないと思うのです。

 

とにもかくにも、ちょうど同じくらいの子供を持つ双方の親御さんがコミュニケーションを取り合わないことによって、お互いにとってとても大切な「叱る機会」を逸してしまっているようにも思えたエピソードだったわけです。

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