Pocket

思えば、私は「親の顔色」をかなり窺う子供でした。
親がどんなことで喜んだり、怒ったりするのか、
親の顔色を見ながら常に行動を制御していました。

とは言え、
実家に帰省すると実母は妻に子供の頃の私の話を結構しているようで、
妻からその内容を聞くと、
そんな子供の頃の私の行動は母にはバレバレだったようです。

 

普通「顔色を窺う」という言葉は、
あまりいい意味で使われることはありません。

相手の出方(顔色)次第で自分の行動を都合よく変える、
といった意味で使われることが多いと思いますので、
親にとってみればあまり子供にやってほしい行為ではないのかもしれません。

ということで、
概して大人は子供の世知賢くて抜け目のない行動を好みません。
伸び伸びと、腕白で、天衣無縫でいることを望みます。

が……。

ところがどっこい、
子供はそんな天使のような無菌状態でいるほど
甘くはないわけです。
(例えその小賢しさが大人にバレバレであったとしても)

 

と、自分の子供の頃を思い出すきっかけになったのが、私と娘の関係。

妻曰く、私は娘に相当甘いらしいです。
(自分ではそうは思っていないのですが、
妻から事あるごとに言われます)

その娘はかなり激情的なところがあり、
一度火が点くと私や息子では止めることができなくなります。
兄である息子はその状態を非常に恐れ、
父である私は非常に面倒臭くなり、
二人とも娘に火が点くと
できるだけ「その時」が過ぎ去るのを遠くからただ待ちます。

ということで、
妻だけが果敢にその火事場に挑むことになるのですが、
そうなると娘の「お母さんなんてキライ!」
「お母さんのイジワル!」
「お母さんともうお話ししない!」
の集中砲火を浴びることになります。

そしてそれをしばらく遠目に見ていると……、
ケロッとして別のことを妻と話している娘がいるのです。

ある時、そんな現場を
「あー、父として役立たずだなー、
夫として格好悪いなー」なんて思いつつも、
妻に
「○○(娘の名)は怒るとすごいけど、
切り替えが早くていい性格だね」と言ったわけです。

ホントに怒ると怖いけど
後腐れのないさっぱりとした性格で
それはそれで良いものだ、
くらいに呑気に思っていたわけです。

ところが。

妻が言うには、
娘は決してさっぱりとしているわけではなく、
怒りは結構長く尾を引いているということだったのです。

つまりどういうことなのかと言うと、
自分が怒りつづけると妻も同様に怒りつづけるわけで、
それで事態の収拾がつかなくなることに気づいた娘は、
妻の顔色を窺いつつ別のことをし始める癖がついたとのこと。
(その時かなり妻の顔をチラ見しているらしいです)

そして、怒りが収まっていないことは、
その後に何かあるとしばらく前の怒りの導火線に再度火を点けて、
怒りはじめるというところから分かるというのです。

そして、また妻の顔色を窺い、
また別のことをして、また怒り、
を繰り返すということでした。

 

娘に甘い私はその見えている事実に気付かず、
娘に別の評価を下していたというわけです。

妻はそんな娘の癖を
「あの子なりに身につけた処世術」
という言い方をしています。

 

ということで、
子供を冷静に見てみると
結構親の顔色を窺っていることが分かるというエピソードです。

そして、「子供=無邪気」や「娘=かわいい」といったフィルターを
頑固に付けている大人には
そんな実態は見えてこないという戒めでもあったわけです……。
(私は私なりに娘には厳しいつもりでいるのですが……)

Pocket