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自分よりも大きな組織や
上位の権力に対して
どうにもやるせない気持ちになる時って
ないでしょうか。

特にそんな組織や権力を後ろ盾にして、
虎の威を借りているような人ほど
自分は安全地帯にいて、
そして相手に対して理不尽なことを
言ってきたりします。

いいか悪いかは別にして、
世の中はたいていヒエラルキーの構造で
できています。

組織の中はもちろん、組織の外に出ても
ある会社はある会社が得意先なので頭が上がらない。
そして、得意先の会社はあるお役所に対して頭が上がらない。
そして、そのお役所の中でもヒエラルキーがあって、
そこにいるトップは選挙で力と金を借りている
ある団体には頭が上がらない。
そして、その団体にもヒエラルキーがあって、
その団体のトップはどこかのフィクサーには頭が上がらない。

まるでマトリョーシカの人形を
割っても割っても終わらずに、
気づけばまた一番最初の人形を割っている
というような堂々巡りで
ちょっとした悪夢のような感じです。

 

こんな気持ちが実に青臭くて
現実を見ていないものであることは、
さすがにこの歳にもなると
分かっているつもりですが、
そんな理不尽を目の当たりにすると
やっぱりやるせない気持ちになってしまうのです。

 

『悪い奴ほどよく眠る』

黒澤明監督の1960年の作品です。

一人の青年が社会的な巨悪に対して行う
復讐を描いた作品です。

たぶんこの作品が初出だと思うのですが、
今ではそのタイトルが慣用句のようにも使われています。

慣用句ということは
多くの人に同意されないと定着しませんので、
ある大きな組織や上位の権力に対して
多くの人が理不尽を覚えていることの
表れなのかもしれません。

 

劇中に小役人が出てきます。

それは小者なので、
この映画のタイトルで言うところの
「悪い奴」ではありません。

ただ、現実の社会では
そんな小役人程度の人から
振り回されることが少なくありません。

 

劇中で“よく眠る”のは本当の“悪い奴”です。

でも現実の社会で普通に暮らしていると
そんな本物の「悪い奴」には
そうそうお目にかかりません。
(というか、あんまりお目にかかりたくないです)

お目にかかるのは小役人程度の悪い奴です。

そいつは今日も虎の威を借りて、
部下を悩ませたり、
発注先に理不尽を言ったり、
小さな小さな自分のテリトリーを守り続けて、
大満足で今日もぐっすりとした眠りにつくというわけです。

やれやれ……。

『悪い奴ほどよく眠る』

 

ちなみに私は主人公の三船敏郎さんの大ファンですが、
この作品でその相棒役を演じた加藤武さんの演技も大好きです。
もしまだでしたら、
ぜひ一度ご覧になってください(と寂しく宣伝してみました)。

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